遠隔作業支援システム
日常生活では実空間の物体や場所を対象としたコミュニケーション ( 以下, 「実空間型コミュニケーション」と呼びます ) の機会がたくさんあります. 例えば, 製造業では機械の組み立てや修理, 教育分野では授業や実験, その他の日常生活においても様々な実空間型コミュニケーションが見られます.
遠隔地にいる対話者と, 実空間内の物や場所を対象とした円滑な コミュニケーション ( 以下, 「実空間型遠隔コミュニケーション」と 呼びます ) を支援するシステムが実現できれば, その有用性は大きい と言えるでしょう. 例えば, 遠隔地にいる専門家から, 機器の修理や 医療行為に関する技術的な方法や知識を指導してもらうことで, 円滑に 作業を行うことができます.
また, 対面的な共同作業では, 指示者は言葉と共に身振りや手振りを 用いながら作業指示をします. こうした身体的な動作の中でも, ある 具体的な行為の直前に見られる予備的な動作を観察することで, 作業者は指示者の次の会話や行動を予測することができます. 例えば, ある対象物の説明をしていた指示者が, 指示対象物を別の物に変える ときには, 頭の向きを変えて, その対象物を目で確認することが多いです. 作業者は, 指示者のこうした動きを観察することで, 具体的な説明が 始まる前に, 次に指示される対象物を予測することができます. 実は, こうした予測がコミュニケーションを円滑にする要因になっています. 同じように考えると, ロボットと人の共同作業においても, ロボットの 頭の動きが, その行動を予測させるように動作することで, コミュニ ケーションが円滑に行われると期待できます.
そこで私たちは, ロボットをコミュニケーションメディアとして 利用することで, 遠隔地にいる指示者が作業者に作業指示する際の, 実空間型遠隔コミュニケーションを支援することを目的とした研究を 行っています.
概要
システム構成
私たちは予期を支援することを目的として, 実空間型遠隔コミュニケーション
支援システム GestureMan3.5 を開発しました.
このシステムでは, 3 眼カメラをロボットの胴体に搭載しています. 指示者は
3 面ディスプレイの前に座り, 頭に 3 次元磁気センサを装着します. 3 面
ディスプレイは左右に広く配置されるため, このディスプレイが作り出す空間を
眺めるとき, 指示者は左右に頭を振ることになります. そこで, この頭の動きを
3 次元磁気センサで検出し, それに応じてロボットの頭を動作させます.
頭部の他にも, 指示者はジョイスティックを操作することで、ロボット本体の
移動や 3 眼カメラを搭載したカメラ付フレームを制御できます. カメラ付
フレームは pitch 方向に動作するため, 3 眼カメラに足りない垂直方向の
視野を補うことができます.
また, 指示者側のディスプレイはタッチパネルに
なっています. 指示者はタッチパネルに触れることで, ロボットに搭載された
遠隔操作型のレーザポインタ ( GestureLaser ) を使い、作業者側にある
対象物を指し示すことができます.
さらに、ロボットには 5 自由度の腕が取り付けられています. ロボットの腕と
指示者の指さしは、モーションキャプチャをすることによって連動して動作
するようになっています. 指示者がタッチパネルに触れる行動は、ロボットの
腕とレーザーポインタを自然に動作させ、作業者に指示者の行動を予想しやすく
しています.
また、ロボットの胸部にはモニターが取り付けられており、作業者はモニターから
指示者の表情や、指示者の目の前にある書類、指示者側の環境などを確認することができます。

このシステムの特徴は, ロボットの頭は単に指示者の志向を表現するためだけに
実装されていることです. こうしたシステムの構成によって, 広視野を眺めるときの
指示者の予備的な動作を, 作業者はロボットの頭の動きから観察できます.
そうすることで指示者の意図や行動を予測することができます.
なお, GestureMan3.5 のように、ロボットのカメラと頭部を分離しなくとも,
指示者のインタフェースとして, 広視野角の頭部搭載型ディスプレイ(HMD)と,
3 次元磁気センサを利用することで予期を支援できます. しかし, 広視野角HMDは
大型で重量があるために, 指示者にとって負担が大きいのが現状です.
また、GestureMan3.5だけではなく、AIBOやKHR1なども用いて同様のシステムを構築しています。
成果
Journal Papers (in Japanese)
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GestureCamシステム: カメラロボットを介した遠隔教育の試み
葛岡英明, 石母田玄, 西村有史, 近藤喜美夫, 鈴木龍太郎
放送教育センター研究紀要, No.12, pp.165-173, 1995.
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実空間上の遠隔作業指示を支援するシステムの開発
小山慎哉, 葛岡英明, 山崎敬一, 山崎晶子, 加藤浩, 鈴木栄幸, 三樹弘之
情報処理学会論文誌, Vol. 40, No. 11, pp.3812-3822, 1999.
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実空間上の遠隔コミュニケーションを支援するシステムの開発
小山慎哉, 葛岡英明, 上坂純一, 山崎敬一
情報処理学会論文誌コラボレーションの「場」とコミュニティ特集号、Vol.45, No.1, pp.178-187, 2004年1月.
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遠隔作業指示支援ロボットの操作インタフェースがロボットの志向表現に与える影響の研究
上坂純一、葛岡英明、小山慎哉、山崎敬一
情報処理学会論文誌 コラボレーションの「場」とコミュニティ特集号、Vol.45, No.1, pp.168-177, 2004年1月
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ロボットを介した遠隔コミュニケーションシステムにおけるエコロジーの二重性の解決:頭部連動と遠隔ポインタの評価
葛岡英明, 山崎敬一, 上坂純一
情報処理学会論文誌, Vol.46, No.1, pp.187-196, Jan. 2005.
解説論文
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協調作業支援システムとロボティクス
葛岡英明
日本ロボット学会誌, Vol. 15, No. 4, pp. 40-43, 1997.
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多面スクリーンを用いた遠隔作業指示に関する研究
小山慎哉, 葛岡英明, 山口将志
Human Interface N&R Vol.13 No.3 443-445.
Conference Papers (in Japanese)
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遠隔操作型レーザポインタを用いた遠隔作業指示システムの開発
小山慎哉, 葛岡英明, 山崎敬一, 山崎晶子
日本機械学会[ No.99-9] ロボティクス・メカトロニクス講演会’99 講演論文集, 2A1-36-020(1).
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小山慎哉, 小野寺光, 葛岡英明, 山崎敬一
レーザボインタによる遠隔作業指示支援システムの実用可能性
ヒューマンインタフェースシンボジウム2000論文集, pp.435-438,2000
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遠隔にいる指示者を代理するロボットの開発
小山慎哉, 葛岡英明, 山崎敬一, 光石衛, 鈴木健治
日本バーチャルリアリティ学会第5回大会論文集, pp.381-384,2000.
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ロボットを介した遠隔作業指示システムの開発
葛岡英明, 小山慎哉, 山崎敬一, 光石衛, 鈴木健治
日本機械学会[No.00-34]講演論文集[2001.1.17-19,つくば,第10回設計工学システム部門講演会],pp.329-330,2000.
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身体性を考慮した遠隔作業指示システムの開発
小山慎哉, 葛岡英明, 山崎敬一
ロボティクスメカトロニクス講演会(ROBOMEC‘00)論文集, 1P1-38-060,2000.
-
ロボットを介した遠隔コミュニケーションシステムの開発
葛岡英明, 野間春生
ギガビットネットワークシンポジウム2001, 2001.
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体感通信環境Tel-E-Merge--歩行感覚提示装置による通信システムの実現とその課題--
野間春生, 小山慎哉, 宮里 勉, 葛岡英明, 中津良平
第19回 日本ロボット学会学術講演会, 2001.
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指示者を代理するロボットによる遠隔作業指示支援
小山慎哉,葛岡英明,山崎敬一,Paul Luff
情報処理学会研究報告 2001-GW-39, pp.83-88, 2001.
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ロボットを介した遠隔コミュニケーション支援システムの開発
小山慎哉,葛岡英明,山崎敬一,山崎晶子
第19回日本ロボット学会学術講演会論文集,pp.17-18, 2001.
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コミュニケーションメディアとしてのロボットに関する研究
上坂純一,小山慎哉,葛岡英明,野間春生,鉄谷信二
日本機会学会 ROBOMEC'02, 2002.
-
ロボットを介した遠隔コミュニケーションに関する研究
小山慎哉, 上坂純一, 葛岡英明, 山崎敬一
計測自動制御学会システムインテグレーション部門 講演会 SI2002, pp. 93-94, 2002.12.19-21.
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遠隔作業指示支援ロボットの操作インタフェースがロボットの志向表現に与える影響の研究
上坂純一, 葛岡英明, 小山慎哉, 山崎敬一
ヒューマンインタフェースシンポジウム2003論文集, pp.255-258, 2003.
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コミュニケーションメディアとしてのロボットの開発−コミュニケーションにおける予期の支援
葛岡英明、上坂純一、山崎敬一、山崎晶子
SI2003予稿集CDROM, pp.886-887, 2003.12.21.
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ロボットをコミュニケーションメディアとして利用したシステムの複層性に関する考察
葛岡英明, 上坂純一, 山崎敬一, 山崎晶子, 菅靖子
日本バーチャルリアリティ学会研究報告サイバースペースと仮想都市研究会 VR学研報 VOl.9, No.1, pp. 65-72, 2004年1月15日〜16日.
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ロボットを介した遠隔コミュニケーションシステムにおけるエコロジーの二重性とその解決法
葛岡英明、山崎敬一、上坂純一
VR学会サイバースペースと仮想都市研究会研究報告Vol.9, No.2, pp13-18,筑波大学春日地区、2004.5.20.
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遠隔コミュニケーションにおける予期の支援及びエコロジーの二重性に関する考察
葛岡英明、山崎敬一、山下淳
日本バーチャルリアリティ学会サイバースペースと仮想都市研究会第8回シンポジウム予稿集, VR学研報Vol.10, No.4, pp. 1-7, 2005.
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予期を考慮した遠隔作業指示システムの研究
古澤洋将、葛岡英明、山下 淳、山崎敬一
ヒューマンインタフェースシンポジウム2005論文集1, pp.329-332, 2005
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コミュニケーションロボットと実世界ビデオアバタシステムにおける遠隔作業指示の比較に関する研究
友野達也、古澤洋将、葛岡英明、山下淳
日本バーチャルリアリティ学会第11回大会論文集, pp.30-32, 2006
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代理ロボット対話システムにおける顔表示の効果に関する研究
古澤洋将, 友野達也, 葛岡英明, 山下淳, 山崎敬一
ヒューマンインターフェースシンポジウム2006論文集, pp.395-398, 2006
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ロボットを介した人間−コンピュータインタラクションの研究
鈴木祐也、板原達也、葛岡英明
第16回日本機械学会設計工学・システム部門講演会論文集, 2006